TTP交渉に日本が今月から参加すると報道されています。
日本がTTPに正式に加盟すると、不動産業界はどのように変わるのでしょう。 TTPはアメリカのルール(アメリカ・グローバルスタンダード)により、自由貿易をしましょうと言うことですから、 アメリカの不動産業界を見れば直ぐ解ることになります。
宅建協会では10年以上前から、アメリカ方式の不動産取引の導入を先取りする形で、研究した事があります。 その後、研究は継続されず“うやむや”のまま現在に至っていますが、 TTP加盟が現実味を帯びてきた今、 俄かに脚光を浴び始めています。
現在、パブリックコメントの段階まで進んだ、民法大改正もTTP加盟を前提にしているようですが、不動産業者も不動産取引のルールが激変することを覚悟しなければならないようです。
民法改正により、利益相反に当たる「双方代理」が禁止されることから、売買・賃貸における媒介で同一業者が売主・買主または貸主・借主双方から媒介委任を受けることが出来ず、いわゆる、“両手”の仲介手数料を受け取ることが出来なくなる可能性が高まっています。
さらに、TTPに加盟すれば、アメリカ方式に統一されますから、媒介における手数料は買主からは受取ることが出来ず、売主(お金が入る側)からのみ手数料を受けることになります。
また、私の認識が間違っていなければ、アメリカ方式では、売主から売却等の委託を受けた媒介業者は、自らが物件調査や重要事項説明を行うことは出来ず、売主が依頼する認定された第三者機関等が行うことになります。 したがって、媒介業者はもっぱら媒介行為のみに専念することになります。
委託された売り物件の手数料は売主が払う事になり、買主は手数料を払う必要がなくなりますから、元付け業者とか客付け業者とか言われる概念は無くなります。これは、賃貸に関しても同様です。
賃貸に関しては、媒介行為は不動産業者、管理行為は管理業者に分けて、それぞれを免許制度にして営業をさせようとしている国土交通省の思惑も重なり、どのような結末になるか想定が難しいのですが、 いずれにしても、TTPに加盟する事による不動産業界の激変は、まさにコペルニクス的展開になることだけは間違い無いと思われます。
この、第二次黒船来襲 に備え、今からアメリカ・グローバルスタンダード・不動産編を勉強しなくてはならないと思うと、ちょっと、かったるい思いがするのは年の所為でしょうか?